2008年2月14日木曜日

A-dec 500 1




 昨日、今日と東京のエーデントの人がやってきてユニットの取り付けを行いました。遠方からわざわざ、それも吹雪の最中に弘前まで来ていただき、本当にありがとうございました。

 実は2年前に患者さん、それも小学1年生の子供から、「この椅子汚い」と言われました。開業からすでに12年にもなり、知らないうちに歯科用ユニットも相当に汚くなっていたのでしょう。子供は遠慮なく、真実を言いますので、ショックを受けました。何とか早くユニットを交換しなくてはと思っていましたが、昨年は筋電図を至急購入する必要があったため、ユニットの購入は今年度になりました。おかげてここ1年ほどじっくりとユニットの勉強ができました。

 A-decという会社はアメリカのオレゴン州に本社のある会社で、日本での輸入元はエーデントという会社です。アメリカの歯科用ユニットの80%以上、世界でも50%以上のシェアーをもつ、世界を代表するユニットメーカーですが、どういう訳か日本ではほとんど売れず、歯科医師仲間でもほとんど知られていません。おそらく日本でのシェアーは1%以下と思われます。

 この会社の商品は、Performer,Radius,a-dec500の3機種で、Radiusは15年前から、Performerは10年前から、一番新しいA-500にしても5年前に開発されたもので、毎年新しいユニットを売り出す、日本のメーカーとは全く概念が違います。基本のスタイルは継承しながら、トラブルや操作性は大学などで実際に使った上で改修して、製品を完成していくようです。ほとんどすべてのパーツは市販され、30年間は保存しているようです。またアメリカではA-decの機種が標準になっているため、多くのサードパーティーの会社が部品を安価で供給しています。

 まず写真上、中のような重いフレームがあり、それに様々なパーツを足していきます。空気圧ですべて動くため、非常にシンプルな構造でありながら、実にスムーズな動作を行います。またユニット本体(写真下)をみてもほとんどスカスカの状態で、最近流行の電子部品もあまり使われていません。フレームには2本の大きな回転軸があり、それにごっついマウントをつける構造になっています。そのため2本のマウントおよびフレーム本体も簡単に自由に回転することができます。何しろごつい感じがします。モニター台にしても9kgの過重まで大丈夫なようにできています(20から22インチモニターでも本体重量は6kgほどです)。

 わたしがこのユニットを選んだ最大の理由は、その座り心地です。ほとんど家にあるソファーと同じ気持ちよさで、まさにユニットのロールスロイス級(いいすぎかキャデラック級)と言えると思います。とくにSewnタイプのものはすごいです。背もたれの部分は非常に薄いのですが、ウイングの部分に弾力性があり、座り心地を高めています。色は30種類の中から選ぶことができましたが、Vintageという渋めを選びました。

 a-decのユニットと日本のユニットを比較すると、第二次世界大戦期のグラマンと零戦をイメージしてしまいます。グラマンはF4ワイルドキャット、F6ヘルキャット、F8ベアキャットのラインで戦いましたが、共通しているのは余裕のある設計で、防弾装備の充実、大馬力エンジンの搭載でした。多少リベットがむき出しでもおかまいなしでした。一方、零戦はできるだけ無駄をそぎおとす設計のため、性能は優れてはいたものの、防弾装備は皆無で、コクピットも狭く、機能の拡張もキャパが少ないためあまりできませんでした。リベットも空気抵抗を減らすため沈頭鋲の採用などを行いました。同様にドイツはMe109とFw190で、イギリスはほぼスピットファイアーで戦いました。いずれも設計の基本に拡張性があったからできたことでしょうし、製品開発に対する欧米人の基本的な考えが踏襲されたのでしょう。歯科ユニットについても同様な基本設計概念の差を感じられます。

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