2009年1月17日土曜日

史上最低のマンガ 怪人アッカーマン




 私のマンガ歴は長い。兄がいたせいか、幼稚園のころから近所の貸本屋に行き、漫画本を借りていた。「少年マガジン」は創刊の近いころから読んでいて、近くの駄菓子屋に本が届けられる日には学校帰りに一目散に飛んでいって買っていた。当時のマンガ、たとえば「サブマリン707」、「チャンピオン太」、「紫電改のタカ」などは懐かしい。その後もずっと確か大学2年生ころまで少年マガジンを毎週買い続け、一時は一生やめられないのではと悩んだりしたくらいだ。

 その後は、「アクション」「ビックコミック」などを経て、現在はあまり雑誌は買わず、もっぱら単行本になってから買っている。年間それでも100冊くらいは買っているから、これまでの読んだマンガの数は相当なものと思っている。その中でも、史上最も下品で最低のマンガとして、ここに紹介する「怪人アッカーマン」がある。当時は「花の応援団」など、低俗なマンガがはやった時期でもあったが、これほど下品でなおかつ風刺的なものはなく、強く印象に残っている。正月休み、インターネットで2巻から6巻までを1000円で購入して読んでみたが、とてもその内容をブログでは語れないほどひどい。古今東西のすべてのSFのキャラクターが登場し、アッカーマンにめちゃくちゃにされ、あのオバQでさえもやられてしまう。まったく容赦なく、一部不敬罪にあたるような表現もあり、その毒は風刺として強い。

 アンネの日記はいうまでもなく、ドイツ占領下のオランダ、ユダヤ人少女アンネの日記で、その語句から男性なら女性の生理用品を多少は連想するかもしれないが、このマンガではタンポンの物語としてむちゃくちゃな内容になっている。欧米でこんなマンガが発表されれば、それこそ非難ごうごうである。このことは作者新田たつお自身が深く、自覚しており、最終巻のあとがきで「怪人アッカーマンは、エログロのオンパレード、漫画史上、空前のえげつない漫画だと自他ともに自負しております」と述べている。このあとがきにはガンダムの村上和彦、AKIRAの大友克洋、映画監督の大森一樹などの今ではそうそうたるメンバーが寄稿しており、1981年という年代を考えると、当時のマンガ家にもかなり影響を与えたのかもしれない。本来はNHKBSのマンガ夜話でも取り上げたいと関係者のみんな思っているであろうが?、内容があまりにひどく、NHKの許可がでないのかもしれない。またこれだけ面白いマンガであれば、コミック文庫版として再販され若い人にも読まれていてもおかしくないが、これもまた内容があまりに低俗なため、30年前のものをオークションで買うしかない。じつにかわいそうである。

 40歳以下のひとにはほとんど知られていないマンガであるが、SF好きなひとは是非とも読んでいただきたい。あらゆるSFのキャラクターが登場し、これは今回読んでみて意外に思ったことだが、結構新田たつおさんは漫画がうまく、よくキャラクターを描いている。

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