2009年10月8日木曜日

アメリカの食事事情



 今、アメリカからの交換留学生を預かっています。これで2度目なので慣れそうなものですが、これがなかなか大変で家内もストレスが貯まっているようです。

 留学生の食事には、家内もずいぶんと気を使っているようですが、あちらでどんな物を食べているかは気になるところです。そんなことで先日、この留学生にアメリカの食事状況について聞いてみました。買い物は月に一度、スーパーに買い出しに行き、車いっぱい、冷蔵庫2台分を一気に買うようです。多くはインスタント食品、冷凍食品で、生野菜は買わないようです。これを冷蔵庫一杯に詰め、各自が帰ってくると勝手に冷蔵庫から好きなものを取り出し、電子レンジでチンするといった案配です。朝はコーンフレークなどのシリアルに牛乳をかけ、昼は学校の食堂でマックなどを食べ、夜はピザ、スパゲティーやラザニアなどを食べるようです。履歴にわざわざ日曜日は母方の両親を呼んで、ファミリーデーを開くと自慢して書いていましたが、要するにこの日だけ、少し料理をして、みんな一緒の食べるというわけです。他の家では、こんなこともしていないようで、各自がめいめい勝手に冷蔵庫から好きなものを取り出し、食べているだけで、お互い何を食べているのか、いつ食べているのかもわからないようです。

 ニュージランドに行った日本人の留学生のホームスティー先も、このような状況で、遠慮してあまり冷蔵庫から取り出せず、いつも空腹だったとを聞きましたし、イギリスもこうだったという声もあります。

 友人のアメリカ人、彼は日本に来てすでに20年以上になりますが、に聞きますと、1960年代くらいはまだ家で食事をして家族で食べるのが一般的だったのが、1970年くらいから冷凍食品が発達し、また主婦も外で働くようになり、次第に自分のところで食事を作らなくなったようです。今では家で料理をするのは、ごく一部の料理好きのひとで、それも毎日作ることはないようです。さらに郊外のスーパーではこのような要望に沿うように、中国産の安くて、大量のいわゆるジャンク、インスタント食品が山のようにあり、自分で作るより安く、うまいため、ますます拍車がかかっているようです。

 日本でも子どもも忙しく、なかなか家族そろって食事をするのは難しくなってきましたが、まだアメリカほどではありませんし、外食も多くなったとはいえ、食事は自分のところで作るというところが多いように思えます。

 欧米のこのような食事事情を、むかしは郊外型の大型スーパーによるものとされていました。日本のように近くにスーパーや店がなく、車で郊外の大型スーパーでまとめ買いするからだと。しかし、近年、日本でも欧米なみに車で郊外のスーパーに買い物に行くというのは、きわめて当たり前のことになりました。

 こうなった理由のひとつにはアメリカ人の無頓着さ、おなか一杯になって食べられれば何でも良い、作るのが面倒だ、自分の好きな物を食べたい、味音痴などによるものでしょうが、米が主食でないことも理由のひとつでしょう。米食を中心としたアジア各国では、欧米ほどインスタント食品の家庭での普及はなされず、多くの家では自分のところで作ると思います。米を主食にする限り、いつも炊くという操作が必要となります。またご飯そのままでは味が薄いため、一緒に食べるおかずが必要となります。カレーだったり、コチジャンだったり、醤油味だったりしますが、何らかのおかずが必要で、これ自体はインスタント、レクルト食品でもいいのですが、どっちみちお米を炊くならおかずも作ってしまえということになります。
 
 アメリカで販売される多くの冷凍食品は,安くて、量の多いものとなると、必然的に中国産、それも何が使われていないかわからないような代物で、これを自分の子どもに毎日食べさせるというのは、子どもの健康を考えると問題があります。また好きな物だけ勝手に食べさせるというのも、偏食や肥満の原因になるでしょう。家族一緒に食べること、家で料理すること、これは家族の基本だと思いますし、実現が困難というほどのものではありませんが、アメリカでもそういった動きはありません。スーパーマーケット、食品業界自体がHome-cookinngを,値段や便利さで排除していっているのかもしれません。近未来の日本の姿として食糧の自給率と共に、こういった食事事情も考えておかないといけない問題です。

3 件のコメント:

ハートフルママ さんのコメント...
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ハートフルママ さんのコメント...

はじめまして、アメリカの食事事情興味深く拝読させて頂きました。
9年前カナダでホームステイした時も同様の食生活でした。週に一度買い物に行き、冷凍庫に入れて、調理らしきことは殆どなく、一度、ホストファミリーがとうもろこし畑に行き30本ほど購入した日の夕食は「茹でたとうもろこし」のみが、夕食でした。塩やバターを山のようにつけて食べていました。

合理的といえば洗濯・食器を洗うのも週に一度、殆ど食器を使用しないこともありますが、和食に慣れている日本人には驚く世界でした。しかし室内装飾などには大変な凝り方で美しいお部屋でした。

五感を育む食とは程遠い生活でしたパンは美味で助かりました。

さて、咀嚼力測定ガムを3年前に知り、複数保育園で測定調査協力をお願いして継続観察をしています。

咀嚼力を育むことは、好き嫌いを少なくしていくことや保護者の養育力とも関係してくることが見えてきています。

また、ご指導頂けましたら幸甚です。
今後とも宜しくお願い致します。

09/10/21 4:57

広瀬寿秀 さんのコメント...

家族で一緒にごはんを作って食べる、人間生活の基本と思います。こんな簡単なことがアメリカ人にはできないようですし、マスコミでもそういった問題意識もないようです。健康保険ができるのを税金が増える(金持ち)と反対するおかしな国です。