2009年11月1日日曜日

自衛隊次期戦闘機



 飛行機ファンにとって、いま最も熱い話題は自衛隊の次期戦闘機(FX)のことでしょう。当初は、何がなんでもF22ラプターだと言っていましたが、どうも無理なようで最近ではF4ファントムをもう少し使って次期戦闘機の決定を先送りするようです。

 F22ラプターはあまりに性能がすごすぎて(キラーレーシオが1:100、つまり100回対戦しても1機しかやられない)、開発国のアメリカですら、政治的なリスクが大きく、持て余しぎみの機体です。そのステルス性能はほぼ1cm、虫くらいの大きさにしかレーダーには写らないようで、空戦技能に自信を持っていた自衛隊のパイロットでさえ、実戦訓練では「F15でF22の演習相手を務めるのは極めて不愉快になる。なぜなら戦闘態勢に入っても見つけることはできず、何も撃つことなく、突然「お前はすでに死んでいる」と言われるのだから」と、そのすごさに驚嘆しています。

 こういった機体だけに、日本への譲渡については、中国との関係悪化を危惧するアメリカ政府からは反対され、すでに生産自体も打ち切ったようです。中国からすれば、日本がF22をもつことは、大変な脅威で、核兵器に匹敵するものと見られています。現在、開発中の空母にしても、日本がF22と既存のF2を持つことで、いつでも沈められる存在になってしまうからです。

 FXを巡る日米の駆け引きについては、「蘇る零戦 国産戦闘機VS F22の攻防」(新潮社 春原剛)にくわしく書かれています。アメリカが日本を守るための3つのタブーというのがあり、まず筆頭は核兵器、二番目に航空母艦、三番目にスパイ衛星だそうです。北朝鮮のミサイル問題に対処するとして三番目のタブーは無くなっていますし、今後作られるDDH22と呼ばれる護衛艦はまさしくヘリコプター空母で、この2番目のタブーも冒していることになります。さすがに核兵器の保有はあり得ないと思いますが、原子力潜水艦は保有を望んでいるようです。

 この書には、現在開発中の国産戦闘機「心神」のことが書かれています。そのステルス性能については、あまり知られていませんが、ほぼサッカーボール大で、F22に比べるとかなり落ちますし、次期戦闘機候補のF35の4cm大に比べても見劣りします。4.5世代と言われるヨーロッパーのタイフーンでさえ、1m大であることを考えると、これから開発するものとしてはお粗末な気がします。ただステルス性能はエアーインテークの形状が原因であることがわかっているようで、強力なエンジンを搭載することで解決できるようです。著者は自前の国産戦闘機の開発を願いながら、次の第6世代、これは変形するステルスの無人機というものらしいが、その日米共同開発を提唱しています。

 防衛費というのは、生命保険料と同じ性格を有します。何もなければ、掛けたお金を全く無駄になりますが、そうかといって何も掛けないと万一の時に困ってしまいます。財政が豊かでない折、どれくらい掛けるか、それも戦闘機は寿命が30年はあるので、30年後を見越した判断が求められます。とくに隣国中国が金に任せて大幅な軍国主義に走っており、一方、アメリカは中国を警戒しながらも、経済面では無視できない国になり、日本への安全保障は軽視されてきています。また中国政府のJRのリニアカーへの執着は、主として航空母艦へのカタパルトへの転用を考慮したものであり、民間企業も知らないうちに、安全保障に関わることになります。

 こと防衛費については、これまで比較的正しい判断をしてきたと思います。ラプター20機とF35を50機、それと空母と原子力潜水艦、これが防衛関係者の理想的な防衛装備だそうですが、これだけで数兆円以上の予算が必要で、例え見栄で最新兵器をもっても、韓国のように金がなく、中途半端な戦力しかないのでは困ります(独島級揚陸艦 金がなく1隻しか揃えられず、搭載ヘリコプターやホーバクラフトも買えない F15K 安く買ったせいか中古部品が使われ、故障しても部品がない)。軍事力のパワーバランスはギリシャローマの時代から外交の要であり、難しい状況に民主党政権も立たされています。。

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