2011年1月5日水曜日

新年明けましておめでとうございます


 この正月は完全な寝正月で、2日に平川市のアップルランド南田温泉に一泊で泊まりにいっただけで、後はほとんどテレビと読書でした。

 この正月に読んだ本は、例年のごとく、書店の最も目立つところにある「ミステリーベスト10」といった本の中から選んでいます。

 まず「写楽 閉じた国の幻」(島田荘司 新潮社)
 ミステリー界の大御所ですが、長過ぎる。あまり読むのに時間がかかり過ぎたので、途中から速読モードに入り、読了。内容は伏せますが、よくある写楽は誰だ物で、いささかネタが飽きます。

「鴎外の恋人 120年後の真実」(今野勉 NHK出版)
 森鴎外のドイツ留学時代の恋人エリスの正体を突き止めていくくだりは、推理小説を読むようで、ぐいぐい引き込まれます。ただ正体が割合早くわかってしまい、その後の半分くらいはページを増やしたのかな。150ページくらいの内容を300ぺージに膨らませるのは、小説家は得意だが、脚本家にはちと難しいのでしょう。

 ここからは例によって好きな軍事もの
「日本航空母艦史」(世界の艦船 1月号増刊)
 中国が今年から空母を持つようですが、大正11年の日本最初の空母「鳳翔」から最後の空母「信濃」までの日本海軍の歴史を見ると、実用化するまでは相当期間がかかりそうです。商船改造も含めて日本は計40隻の空母を作り、終戦時無傷に残ったのは最初につくった「鳳翔」だけだったようです。

「戦艦ミズリーに突入した零戦」(可知晃 光人社NF文庫)
以前にも同じような内容の「我敵艦ニ突入ス 駆逐艦キッドとある特攻、57年目の真実」(平義克己 扶桑社)を読みましたが、どちらも誰が突入したかを資料をもとに突き止める粘り強さは、「写楽」と「鴎外」の2書よりよほどすごい。軍事研究家の調査能力には頭がさがる。戦艦ミズリーの40mm機銃に突き刺さった特攻零戦の13mm機銃の写真はすごい。乗務員の執念が乗り移ったようです。

「零戦 最後の証言」(神立尚紀 光人社NF文庫9
戦後生き残った零戦パイロットの取材を集めたもので、同じ著者の「祖父たちの零戦」よりはこちらの方がおもしろい。私も、ラバウル航空隊にいたひとや日本初めてのロケット戦闘機「秋水」の試験飛行に立ち会ったひとも知っていたが、すべて鬼籍に入られた。あと数年でこういった元パイロットもすべて亡くなると思うと貴重な証言である。

「ロシアから見た日露戦争」(岡田和裕 光人社NF文庫)
日露戦争の勝敗はロシアの内部崩壊であったことがよくわかるが、個人的は「連合艦隊VSバルチック艦隊 日本海海戦1905」( ロバート・フォーチェック オスプレイ対決シリーズ)の方がリアルでおもしろかった。

「近代国家への模索 1894-1925 シリーズ中国近現代史」(川島真 岩波新書)と「叫びと祈り」(梓崎優 東京創元社)は未読です。

 漫画は、これも「このマンガがすごい」から
「進撃の巨人」(諌山創 講談社)
あまりこの手の漫画が読みませんが、「このマンガがすごい」の一位でしたので、どんなものか買ってみました。今のところ三巻まででていますが、これは最後まで買いそうです。絵はへたで、中身に入りにくのですが、それがかえって気持ちが悪く、いい雰囲気です。実写の映画化すれば結構怖い映画になるでしょう。
「桶狭間戦記」(宮下秀樹 講談社)
「センゴク」の外伝もので、5巻で終了です。よく調べており、NHKの大河ドラマの説とは完全に違う解釈で桶狭間の戦いを描いています。この人の漫画は書き込みがすごいので、アシスタントを使うとしても結構時間がかかると思います。いつ構想を練っているのでしょうか。漫画雑誌には年間2000人の持ち込み原稿があり、そのうち50人が書き下ろしに、さらに20名が連載に、さらに人気作家になるのは一人だそうです。天才の集まりです。

 話は変わりますが、昨年10月に自民党の安倍晋三元首相が台湾を訪れ、戦争で亡くなったひとを祀る忠烈祠を初めて訪問しました。そこで国防部忠烈祠管理組長の王恵民上校(大佐)から、忠烈祠に祀られている唯一の日本人であり、建国革命の恵州起義に関わって国父・孫文を助け、犠牲となった山田良政を最初に紹介されたようです。この情報から台湾政府において山田良政は日台友好のシンボルとして捉えられていることがわかります。一般国民においても日本より知名度は高いかもしれません。一方、中国では検索サイトの「百度」で「山田良政」で検索すると53600ヒットします。Yahoo ジャパンでは16200ですから、中国でも関心は高いようです。今年は辛亥革命100周年にあたりますが、中国でも日中友好のシンボルとして山田兄弟が台湾と同じような扱いになるかもしれません。南京の中山陵の山田良政の碑については、その後情報はありません。おそらく破壊されたのでしょう。できれば弘前の貞昌寺と同じ内容の碑が辛亥革命100周年に年に南京に再建されればうれしいことです。日中の有志で再建されれば、友好の記念になると思いますし、孫文の墓の近くに祀られることは山田良政にとってもうれしいことでしょう。

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