2012年7月1日日曜日

世界一危険な飛行機



 オスプレイの沖縄配備が話題になっている。アメリカでの事故を受けて、オスプレイは危険な飛行機で、沖縄への配備はやめてほしいというものである。

 ヘリコプターは狭い場所からの離陸、着陸ができ、空港設備がなくても、自由にどこでも物資、人員を輸送できるため、先の東日本大震災でも、被災地での救援活動、物資補給で活躍した。反面、速度が遅いこと、輸送量が少ないこと、さらにこれが一番問題なのは航続距離が短いことが欠点で、東日本大震災においても、洋上に航空母艦、強襲揚陸艦、ヘリコプター空母を配置し、そこを基地として活動した。この欠点を解消する手段として、ヘリコプターと飛行機に合いの子のようなものが、昔から開発されてきたが、ヘリコプターの三次元的な機能と飛行機の二次元的な機能のつなぎ目をうまく解消できず、すべて失敗した。唯一、何とか実用化されたのが、このオスプレイで、開発は1986年、初飛行は1989年と相当古いが、事故が重なり、ようやく部隊配備になったのが2005年であった。配備後も度々事故が起きているが、この飛行機が危険かというと、ヘリと同程度、飛行機よりは少し危険といえよう。ヘリコプターの操縦は飛行機に比べて数段難しく、ヘリコプターの操縦士は天寿を全うできないと言われるほど、事故は多い。三次元的な操縦感覚が必要とされ、ちょっとした操作ミス、機器の故障が命取りとなる。飛行機乗りはヘリコプターの操縦は絶対にできないようで、同じような航空機でありながら、両者は全く異なるものであり、この合いの子のオスプレイはこういった点でも慣れが必要であろう。

 世の中にはオスプレイなんか、かわいいと思えるほど、それは危険な飛行機がある。その最たるものが、原子力飛行機である。原子力を飛行機の動力に使えば、全く燃料補給なしで、数年間、エンジンが故障しなければ運行できる。アメリカとソビエトで開発計画があり、実際、小型の原子炉を載せた試験飛行機も作った。

 原理は、素人の私にはよくわからないが、原子炉で発生する高熱を大気として取り入れ、エンジンに直接送り込み、タービンを回してジェット噴流で動力を得る直接タイプと、一旦水蒸気、金属ナトリウムを介して大気を暖める間接タイプがあったようだ。実験機としてはアメリカではコンベアB36ピースメーカー、これはB29の後継機として開発された超大型機で、これを改造して出力1メガワットの小型原子炉、といっても重量は15.8トンを搭載し、さらに操縦室との遮蔽には4トンの鉛のシールド、窓も厚さ30cmの鉛入りガラスが用いられた。そしてとりあえず、動力とは関係なく、飛行中に原子炉を稼働できるかテストされた。機種名はNB-36Hとされ、1955.9から1957.3まで47回飛行し、215時間飛んだ。五名の乗員は機体前部の周囲が遮蔽物で囲まれたカプセルのようなところに押込められ、非常用脱出口は天井に分厚いコルク栓のようなものがあって、これがハッチとして開けられるようになっていた。さすがに放射能汚染された大気を運行中、出しっ放しにされることや、墜落時の放射能汚染のため、1961年には開発は断念された。当時、原子力への抵抗は少なく、イギリスのサンダーバードに登場する1号、2号も確か原子力推進であったし、アメリカでは原子力艦隊を作る構想があり、空母エンタープライズ、巡洋艦ロングビーチ、ペインブリッジなどが建造されたが、それほど燃料節約にもならず、現在では潜水艦と空母のみとなっている。

 このオスプレイにしてもステルス機のラプターやF-117にしろ、飛行機の形状としては、とても空を飛ぶようなものではないが、すべてコンピュータにより操縦がコントロールされており、いずれも手動による操縦はほとんど不可能であろう。これもある意味危険な飛行機である。

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