2013年1月15日火曜日

日本の部活



 大阪のバスケットボール部主将の自殺問題が話題になっている。体罰の是非については、いろんな意見があるが、元巨人の桑田選手のコメントが最も説得力があった。桑田選手は、体罰は先生と生徒という一方的な上下関係の中で起こるものであり、監督が采配に失敗したからといって、生徒から殴られるかと厳しい意見をしていた。そして昔は練習中に水を飲むことが禁止されていたため、のどの乾きに耐えきれず、便所の水を飲んだ話を紹介し、今のように熱中症を防ぐためにこまめに水を飲むようになったように、体罰でもってチーム、選手を引っぱるやり方は現代流に変えていかなくてはいけないとしている。

 うちの二人の娘、一人はバスケットボール部、もう一人はバレー部に入っていたが、学校の部活動を見ていると、あまりに練習が多く、なんでこんな練習するかと疑問に思うことが多々あった。練習しなくては勝てないということだが、こんなに練習していても一回戦で負ける。確かに生徒のレベルもあるが、これは指導法の下手さに起因するのであるから、負けたからと生徒をしかるというよりは、桑田選手の意見によれば、その責任の多くは監督にあり、生徒から殴られるべきであろう。

 とくに中学校がひどい。多くの運動部の監督は、教職員がしているため、大部分の顧問はいわば、アマチュアで正式な指導法をほとんど習っていない。それなのに練習は毎日、時間をかける。まあ無給、ボランティアでやっていることなので、こちらも文句はいえない面もあるが、家内ともそこそこ、適当にやればいいのにとよく話していた。家内も中高校とバトミントン、私は中高大学と12年間サッカーをやっていたので、まるっきり素人ではないが、どうも効率が悪いのである。ダラダラ練習するくらいなら、週に3、4日でもいいので集中して練習すべきで、先輩が練習する横で後輩が大きな声を出して応援するといった練習は全く無意味である。

 こういった運動部の中ではサッカーが最も練習法が確立されている。ことに地域のクラブチームの練習は、年齢、世代、あるいはポジションに合わせた練習メニューが作られ、個人の才能を伸ばす方法がとられている。ただ中学、高校のサッカー部では未だに前近代的なスパルタ練習法がとられているところもあるが、サッカーは頭が良くないと優秀なプレーヤーになれないので、上から押しつけの練習メニューでは優れたプレーヤーは生まれない。

 学校の先生、とくに中学校の先生ほど大変な仕事はないと思う反面、世間知らずの先生が多い。いつも自分より年齢の低い生徒と接触しているせいか、大人との対応ができない、人間的に未成熟の先生が多い。昔と違い、教員になるのは非常に難しい試験があるため、大学でも真面目に勉強し、そのまま教員試験に合格して教師となる。社会との接点が全くない状態で先生となるので、非常に打たれ弱く、人間的に魅力のあるひとは少ない。ことに体育の先生は、日体大のような体育専門の教育、それもスパルタ式の教育法を受けてきたため、その指導法が一番だと信じきっており、それを生徒に望む。

 六甲中学、高校の時の運動部の部活は週に3日と決められ、それも7時くらいまでだったので、練習時間は実質2時間くらいであった。それでもサッカー部は県大会や近畿大会に優勝したし、他のクラブもそれほど弱くはなかった。うちにくる患者さんの中にも、月1回の診療を部活が忙しくて、来れないという患者さんが多い。オリンピックの選手でもないだろう。よく聞くと、顧問の先生が、練習を一日でも休むとレギュラーをはずす、矯正治療をする暇があれば練習しろというようだ。全く理解に苦しむ。体育会系のみ、こんなことが許されて、父兄にも支持されるのであれば、「勉強部」があって、毎日夜遅くまで、スパルタでしごいても全く問題ないばかりか、有名高校や大学に行けるのなら、子供にとってもよさそうであろう。ただこの場合は、世間の批判となろう。おかしなことである。

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