2013年4月3日水曜日

A-dec 300 その2





 前回に続き、a-decに歯科用ユニットについて述べる。現在、A-decの日本での販売、設置はエーデントという会社がしているが、輸入元はイボクラールという会社がしているため、あまり積極的な商品販売はしておらず、知名度は限りなく低い。かっては三金が販売していたため、50歳以上の先生には幾分記憶があろうかと思うが、若い先生にとっては、歯科雑誌にもほとんど広告がないため、全く知られていない。

 ただし、これは日本だけの話であり、おそらく世界的な販売数ではシロナやカボといったメーカーと遜色はないし、当然日本のモリタやタカラといったメーカーとは販売量で比較にはならない。なにしろアメリカでは70%以上のシェアーがあり、歯科大学のユニットはほとんどこのA-decなので、アメリカの歯科医にはなじみの深いユニットである。また陸海空軍の歯科ではすべてA-decのユニットが使われている。ちなみに最新鋭の空母ロナルドレーガン(2003)とジョージ・ブッシュ(2009)はそれぞれ3000人以上の乗組員がいて、艦内には歯科診療所もある。上がロナルドレーガン、下がジョージ・ブッシュの歯科診療所であるが、双方ともA-decのカスケードという古いユニットを使用している。このユニットは1994年ころから生産され、2008年ころまでカタログに載っていたもので、2003年、2009年であればA-dec500シリーズも何とか間に合ったと思うが、軍隊というところは最新製品よりは信頼性を重んじるため、敢えて古い機種を装備品として選択したのであろう。いずれにしても空母も一旦外洋にでると、ユニットが故障したからといって修理ができるわけではないため、故障の少ないということが最も求められる。A-decの製品は、こういった空母だけではなく、アフガニスタン、イラクなどの陸軍の戦地にも持っていかれ、その信頼性の高さは他の追随を許さない。我が自衛隊にも、歯科診療所があり、そこでの歯科ユニットは国産のものを使っているが、災害用の野外診療所用のユニットはa-decのものである。何しろ小型の発電機があれば、治療ができる。

 他にも3番目の写真は、アメリカの南極基地内の歯科診療所のユニットであるが、チェアーはA-decでないが、ユニットはPac1 Self-contained unitと呼ばれるもので、機械下部に小型コンプレッサーがあるので、電源にコンセントをさせば使用可能となる。4番目の写真はネパール、エベレスト麓のナムチェバザールの歯科診療所の写真で、これはチェアーがA-decPorta-chairと呼ばれるもので、ユニットは持ち運びが可能なPac1 field unitと呼ばれるものである。これらの機種は非常に古い製品であるが、未だに世界のあらゆるところで使われている。

 A-decの歯科用ユニットはアメリカでは標準の機械となっているため、部品も多くのサードメーカーより格安で販売されており、それもパッキングなど小さな部品まで通販で買える。E-beyでもたまにユニットのシート部分が新品で出品されていて、シートが汚れれば、これを買って簡単に交換できる。また一機種の販売期間が長いため、部品の在庫も長いため、未だに先ほど述べた20年前のカスケードやデケードといった機種の部品も豊富にあり、修理には困らない。

 もし広告が許されるなら、「アメリカ陸海空軍で使われている世界一タフな歯科用ユニット アメリカでのシェアーの70%以上を占める信頼性の高いマシンで、南極基地、エベレスト、戦場でも使われる故障しらずのユニットである」といえそうである。飛行機でいうならA-10サンダーボルトか、というと、ちょっとマニアックか。

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