2014年4月20日日曜日

韓国のフェリー


 韓国フェリー船の沈没事故の話題でもちきりです。一報をテレビで見た時は、半分傾いていましたが、沿岸部から近く、救助活動も容易で、犠牲者は少ないと思っていました。その後の報道で、次第に不明者数が増加してきました。状況はかなり厳しいのですが、親御さんの気持ちを考えるとつらいものです。

 私の船の経験というと、子供のころは毎年夏になると、神戸から小松島、徳島へ関西汽船や共同汽船の船に乗りました。当時は今と違い、定員があってないようで、お盆の時期は、甲板にも多くの人が乗っていました。外の星を見ながら、毛布にくるまれ甲板で寝た記憶があります。大抵は二等客船で、大きな広間の外周に人が寝るだけのスペースを確保し、真ん中の空間にはお茶、タバコ盆があり、親子丼などの出前ができました。中には花札などの賭博をしている人相の悪い人たちもいました。5、6時間くらいだったでしょうか。神戸から小松島までですから、距離は近いですし、内海のためそれほど揺れもなく、快適な船旅でした。小松島からは電車に乗り、徳島で乗り換え、穴吹に行き、そこからバスで脇町に行きます。船は朝に着くのですが、最終目的地の脇町に着くのは夕方頃になります。ただこれも水中翼船ができ、あっという間に徳島まで着くようになり、今は明石大橋ができバスで2時間半ほどです。ずいぶん四国も近くなりました。

 これに比べて鹿児島から十島村への巡回診療では、十島村役場の小さな船と村営の「十島丸」を使っての診療でした、慣れるまでは大変で、島に着いても、ずっとフラフラしていました。これも2年、7、8回ほど続けると、慣れてきて、横でゲエゲエしている人も尻目に村の職員と酒を飲むようになりました。

 話は変わりますが、自衛隊では先の東日本大震災の教訓から、高速の輸送船を民間から買い上げることになりました。私が昔、このブログで提唱した、双胴船「ナッチャン」については、どうやら買い上げることになりそうですが、まだはっきりしていません。ただ新日本海フェリーの高速フェリー「すずらん」はすでに日本政府が買い上げ、船名も「はくおう」となっています。29ノットの高速を誇るもので、旅客定員507名、トラック122台、乗用車80台が積めます。総トン数は17345トンですが、全長は199.5mでそれほど大きくはありません。韓国のフェリーもそうですが、日本の船舶は中古でも人気があり、新日本フェリーが所有していた船は、このすずらん以外でも「フェリーらべんだあ」は現在、HTBクルーズで長崎上海間を、「ニューあかしあ」はギリシャで、「ニューしらゆり」は上海下関フェリーとして下関蘇州、「ニューはまなす」はオリエントフェリーとして下関青島、「フェリーらいらっく」はフィリッピンに売却され、地元で運行されていたが、転覆、沈没、「ニューゆうかり」はギリシャへ、「フェリーすずらん」はフィリッピンに売買されました。


 今回、韓国で沈没したフェリーは、日本のマルエーフェリーで、那覇と鹿児島を結ぶ航路に使われていました(フェリーなみのうえ)。この会社の船も中古船としてフィリッピン、中国、韓国に売買されています。東日本フェリーもそうですが、日本の船舶会社は新造船のみを使い、中古船を使うことはほとんどありません。船主自身もそうですが、日本人の感覚からすれば、いくら経営的な利点があったとしても、敢えてリスクのある中古船を使おうとは思わないのでしょう。造船量でみると、中国は3900万トン、韓国は3100万トン、日本は1700万トンと(2012)、中国、韓国の半分くらいなのに、どうして韓国、中国で中古の船舶がいまだに多く使われるのかという疑問がわきます。タンカーや貨物船などの輸送船が造船の主体で、客船造船のノウハーが案外ないのかもしれません。国内の造船会社に新造船を依頼しないで、できるだけ金がかからない中古船を買い、それを豪華に改造することで、乗客の安全性より経営的な安全性を選ぶような体質が中国や韓国にはまだまだあるようです。軍艦でもそうですが、韓国の軍艦はあれもこれも詰め込むため、艦橋が高く、どれもトップヘビーで外洋にでると転覆するのではと危惧されています。

*軍の病院船などに中古船を使うことは、人命軽視ではなく、使用頻度を考えると理にかなっています。アメリカ海軍のマーシー型の病院船は何とタンカーを改造したもので、年に一週間ほど、機器のチェックのため、航海するだけで、あとは係留されたままです。日本の「はくおう」も29ノットあり「いずも型」、「ひょうが型」と随走でき、東南アジアで発生する災害に対しては、大きな威力を発揮すると思います。医療モジュールを組み合わせることで病院船としても活躍できそうです(できればヘリポートは追加してほしいところです)。

0 件のコメント: