2015年1月15日木曜日

現代版見合い


 最近の若い人の晩婚化はひどい。女の人の場合、20歳後半、2728歳は早い方で、大概は30歳を越えてから結婚する。一時、24歳を過ぎれば、売れ残りのクリスマスケーキというひどい言い方もあったが、今はみんな売れ残りになってしまった。不思議なもので、周囲の友人がみんな結婚しないでいると、結婚の切迫感を感じることもなく、そのまま40歳になり、今度は子供だけは欲しいということになる。

 私の兄弟、姉、兄は見合い、私だけが恋愛結婚であったが、今や恋愛結婚という言葉自体が死語となり、ほぼ100%の人が恋愛結婚で結婚する。見合いで結婚した人は本当に少なく、それも多くの場合、結婚相談所や市町村で開催する婚活パーティーで知り合ったケースである。

 結婚=子供とは言えないが、結婚する人が少なくなると、子供人口は減少する。また晩婚化に伴う出生率も低くなる。昔のように結婚年齢が低いと、多くの子供ができたが、結婚年齢が高いと子供の数は減る。今後の日本の未来を考えると、結婚率の低下と晩婚化は最も重要な問題となる。

 うちの娘、二人を見ても長女は活発で、何とかなるだろうが、次女は奥手で、何とかいい人が現れればとは思うが、いささか気になる。他の若い人を見ても、どうも恋愛の不向きな男女はいるし、最近の男子の草食化をみると男子の方がそういったケースが多いように思える。こういった若者が結婚するためには、誰かが間を持つ、昔のような見合いが必要と思える。

 母に聞くと、戦前の徳島県脇町では、口聞き婆さんという職業があり、町を歩いていて好きな子を見つけると、子供は親にあの子はきれいで結婚したいと言う。親が納得すると、この婆さんに連絡する。この婆さんは相手との家のバランスをみて、OKなら相手の家を訪れ、交渉する。無事、結婚まで行くと、この婆さんには謝礼が支払われる。いい制度である。うちの母親も以前は随分と人に頼まれ、お見合いの仲をとった。家には随時、3、4人の見合い写真と釣書があった。大体は親の職業、家柄を見て、相手を見つけていた。それでも当時、40年前でも一回の見合いで結婚するケースは少なく、何度も見合いするのは普通であった。私は見合いをしたことがないが、姉が20回ほど見合いをしていたので、大体の流れはわかる。まず見合いには両家の親と子、それと仲を持つひとが集まる。神戸の場合はもっぱらオリエンタルホテルが利用された。しばらく喫茶店、あるいは食事をしてお互いに話した後に、子供同士がデートをする。その日、あるいは遅くとも翌日には仲を持ったひとに、○×を報告する。○の場合は、その後、再度2、3回デートをして、2、3か月くらいで結納、結婚となる。半年も延ばさない。

 今はこうした見合いはほとんどなくなっているが、母の場合、誰かいい人がいないかと相談されると、絵の教室などで気に入った子を勧めることがある。実際につき合ってみて気持ちのいい子があれば、もう一方の子も知っていて、両者を結びつける。交際範囲の広い人の場合、人脈で男女の仲をとるというやり方がとられる。実際に病院の受付をしていると、しょっちゅう患者さんから内の息子と一回会ってもらいないかという誘いがある。

 メール、ファイスブックの出現によって簡単に赤の他人とも交流できるようになったが、一方、現実の交際、結婚となるとかえって昔より難しい状況になっている。新たな見合いの制度、口聞き婆さんの現代版、例えば県や市が、定年した知り合いの多いおばさんを「恋のキューピー係」に任命し、ipadに婚活用写真を入れ、個別な見合いのセッティングをしてもらう。色々案があるかと思うが、これは国、県、市がもっと本腰を入れて考えるべき問題である。

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