2015年5月1日金曜日

ヒロサキ アート ミュージアム

 先日、祝日のため、家内と一緒に青森県立美術館に行ってきた。ウルトラマンなどで有名な成田亨の特別展示があったので、バスで青森駅から乗った.同乗者は白人の美しい女性が2名と年配の日系アメリカ人の夫婦であった。帰りにもフランス人の2名の女性と3名の中国人が乗っていたことから、意外に外国人観光客から人気のスポットである。

 弘前市でも吉野町のレンガ倉庫の活用が今年度から予算化されており、議会で承認されると具体的に動き出す。今のところ、事業費の総予算は39000万円で、建物・用地取得費が28000万円、アドバイザリー業務委託費が3000万円、耐震診断410万円、設計料3900万円となっている。おそらくはここで行われた過去の奈良美智の展覧会を見ると、弘前市立美術館の開設を目指したものとみて間違いない。

 今は弘前城内に弘前市立博物館があるが、そもそも博物館は弘前の歴史資料を展示するところで、美術館とは役割が違う。博物館は弘前藩があった関係で、藩所蔵の美術品が多くあるが、主としてそれらの展示が主体となる。一方、美術館は奈良美智はじめ、モダンアートの展示が可能となり、純粋に美術を主体とした展示が可能となる。

 現在、青森県には十和田現代美術館、青森県立美術館、棟方志功記念館、八戸市美術館、七戸町立鷹山宇一記念美術館などがある。弘前の美術館も、近代美術館か汎用美術館か、個人美術館となる。ひとつの方向性として過去のA to Zの成功から奈良美智記念美術館という手もあるが、こういった個人記念美術館は、将来的な観点からは、陳腐化する恐れがある。鷹山宇一と言ってもピンと来ない人も多く、観光客の集客を期待するのは難しい。その点、奈良美智についてはかなりの集客は見込めるものの、それでは後30年後はどうかというと微妙である。一方、現代美術館とするのが一番、集客できそうであるが、すでにある青森県立美術館や十和田現代美術館とかぶる。そういった意味では汎用の弘前市立美術館というのが一番正統であるが、新鮮みに欠ける。

 将来的、海外からの見学者を見据えると、若者達に魅力のある美術館が望ましく、どうしても現代美術館の方向となるのはやむをえない。吉野町のレンガ倉庫自体が美術品としての価値が高く、いかに耐震性、空調などの設備も含めて現状を保存するかも、大きな焦点で、その枠の中で若者に魅力のある展示をする知恵が必要であろう。そのひとつのヒントとして過去3回開かれ、大きな話題となったA to Zの展覧会が大きな参考になるであろう。見学者がそこでしか体験できない展示物が必要だろうし、民間、市民と一体となった運営が要となろう。かっては金にあかせてゴッホなどの有名な作品を買い求め、それを美術館の目玉とするところもあったが、今はそういった方向性は必要ないし、人口17万人の小さな市としては、そこを狙うことは全くない。


 個人的な希望としては、吉野町レンガ倉庫をそのままの形でリフォームし、“ヒロサキ アート ミュージアム”として、版画、奈良美智、佐野ぬい、天野邦弘、村上善男などの地元出身の現代絵画と平尾魯仙、工藤甲人、奈良岡正夫、野沢如洋、下澤木鉢郎などの作品、さらに小さくてもいいが、映像作品が見られるシアター兼講義室がほしいところである。現代ものと制限せず、古くても新しい観点で展示するアートミュージアムとしての活用が望ましい。東西を問わず古い映画も見たいし、おしゃれなカフェーや美術館ショップもいいし、弘前の文化の発信源としての役割が最も望まれる。

さらに言うと、美術館、弘前博物館と図書館は機能的に統合し、図書館にある絵図や古文書は、美術館、博物館にも展示してほしいし、逆に図書館に甲冑、掛軸、絵画の展示があってよい。さらに弘前大学、東北女子大、弘前学院などの地元大学、学生との有機的な連携も求められる。

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