2016年2月20日土曜日

散髪屋(理容)の復活


 近頃の若者は、散髪屋には行かずに、美容院に行くという。そういえばいつも行っている近くの散髪屋もお客さんは、年配に人ばかりで、若者だけでなく、子供も見かけない。

 私が子供のころ、昭和30年代の尼崎、近所にホープという散髪屋があった(今もある)。椅子が5台ほどあり3、4人のスタッフと手伝いの少年2人ほどがいて、いつ行っても混雑していた。待ち合いにはマンガが多くあって、学校から帰り、親から散髪に行ってこいといわれ、この待ち合いでマンガを読むのが楽しみであった。1時間ほど待って散髪するが、当時の散髪屋にはひげ剃りだけ、毎日来るお客さんや、おばあさんの中には短く切ってもらえるし、顔そりもしてくれとわざわざ散髪屋にくる人もいた。

 その後も散髪はずっと散髪屋でしてもらっていたが、大学を卒業し、一時、パーマをかけた時代があったが、その頃、2、3年間、鹿児島の美容院に行った。ただどうも顔そりがないのが、さっぱりしなかった。その後は、現在に至るまでずっと散髪屋で切ってもらっている。

 昔は、女の人が美容院、男の人は散髪屋(理髪店)と分担されていた。男の人が美容院に行くには恥ずかしかったし、お店の女の人からは何で男が美容院に来るのかと睨まれた。一方、若い女性が散髪屋に来ることはないし、今でもそうである。ところが現在はどうなっているかというと、20歳代の男性で言えば、70%以上は美容院派であろう。そのため、美容院に数に比べて、散髪屋の数は圧倒的に少ない。私の住んでいる所から半径500mくらいで、散髪屋は1軒しかないが、美容院は20軒くらいある。女の人がいくらおしゃれといっても、この差は異常であり、美容学校でも美容師と理髪師になる学生の割合は101くらいのようである。また行きつけの散髪屋で、弘前の理髪組合について聞くと、組合員に若いひとはほとんどおらず、かなり高齢化しているとのことであった。こうした状況はこの弘前だけではなく、全国的な傾向であろう。いずれ散髪屋はなくなってしまうのかもしれない。

 それでは外国はどうかというと、基本的には男性は散髪屋に行くのが普通である。シャンプーやひげ剃りなどはオプションで、散髪だけが基本となるが、女性の美容院で男性が女性の隣の席で髪を切るという光景は珍しい。散髪屋は男らしさの最後の砦といった感じで、美容院に行くのはオカマといった風潮もある。さらに医科でもそうであるが、専門性がはっきりしているので、男性の髪はその専門の散髪屋で着るのが合理的という考えもあろう。

 髪をきってもらい、店主との会話を楽しみ、髭をそってもらい、マッサージしてもらう、最高にくつろげるひと時で、これは男性だけで楽しみたい場所であり、隣に女の人がいるとくつろげない。男女のバリアがなくなることは結構なことだが、美容院と理髪店の区別はあってほしいし、私自身は逆に“バーバー”と呼ばれるような古式な散髪屋はこれからブームになるかと考えている。要は現在の理髪業界の問題であり、古いバーのような渋くてモダンな理髪店を開業すれば、若者を中心としたフアンをきっと獲得できよう。そうした意味では、美容師になろうと思う若者は是非とも真剣に理髪師への道に変更してほしい。美容院に比べると、将来的にはかなり可能性を持つし、日本人の器用さから言えば、海外でも開業できる。

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