2016年11月4日金曜日

ドナルド・トランプ Back to the past



 トランプ大統領候補というとんでもない人物が注目され、ひょっとしてアメリカ大統領になるかもしれないという状況になってきている。過去の大統領選挙でも、こうしたエクセントリック人物が候補になったことはなく、選挙戦に勝つか、負けるかは別にしても、トランプの主張に多くのアメリカ人が賛同しているのは間違いない。

 トランプ候補の支持者は、下層の白人とされていたが、最近の調査では、一つの典型例として、50歳以上、7万ドル以上の収入のある中流の白人男性層とされている。またトランプ候補の副大統領候補、マイク・ペンスは、狂信的なファンダメンタリスト(原理主義者)であり、同性愛、進化論、中絶の禁止、反フェミニズムなどを掲げている。

 トランプ候補の支持者は、こうした宗教的にファンダメンタリストも多く含み、黒人、ヒスパニックなどの人種問題についても否定的で、アメリカは白人の国であるという思いは強い。そして彼等の理想は、1960年以前のアメリカであり、夫が働き、妻が家で家事をして、子供は学校に行くという社会である。

 人種問題でいえば、1970年代以降、黒人運動の激化に伴い、表面上、人種差別はなくなり、公共の場では差別はないとされている。しかし白人の本音、決して公共の場では出てこない人種差別は存在する。胸にためた本音を閉ざすのは苦痛を生じ、その鬱憤をはらす場所もない。こうしたことは英語のしゃべれないヒスパニックの増加に伴い次第に抑えられないところまできている。1930年代まではアメリカも移民の国で、イギリス系の白人の中にイタリー系、ドイツ系、スコットランド系の移民が流入し、彼等への差別があったが、今ではそうした差別はほとんどなくなった。2010年の人種構成をみると、白人は63.7%、ヒスパニック系が16.3%、黒人は12.2%、アジア系は4.7%と十年間で白人層は5.4%減少し、逆に黒人、ヒスパニック系は4.1%増えている。2060年の予想では白人比率は43%、ヒスパニック系は31%になるとされている。これをもっと遡ると、1950年代では白人人口は89.4%、黒人人口は9.9%、その他が0.7%であったことを考えると、アメリカ自体の人種構成比が劇的に変化していることがわかる。

 日本との比較をすると、外国人調査だけで人種調査はないが、韓国、朝鮮、中国、ブラジル、フィリピン人などすべての外国人を入れてもおおよそ百万人で人口の1%であり、アメリカとは話にならないくらい低い。


 古き良きアメリカ、おそらくは1950年前のアメリカを求める人々がトランプに強いシンパシーをいだくのだろう。Back to the Future part2では、主人公マーティーの宿敵ビフがトランプそっくりの大金持ちになっている。この映画は、脚本家がトランプをモデルにしたと告白しており、彼が大統領になった暁には、この映画は上映禁止になるかもしれない。Back to Pastに対するアメリカ白人の気持ちは強く、このままではアメリカはどんな国になるか漠然とした不安がトランプ候補の言動に共感するのだろう。

2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

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広瀬寿秀 さんのコメント...

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