2017年8月7日月曜日

適正価格とは



 私の昔出した「新編明治二年弘前絵図」がアマゾンにて一時15000円で売られていた。定価は1800円で、あまりの高さに驚いたと同時に、こうした値段をつける古書店に憤慨した。おそらく2300円で仕入れ、それをひょっとすれば高く売れるかと思い、こうした法外な値をつけたのだろう。ほとんど損傷のない状態でもせいぜい1000円くらいが適切な価格であるが、こうした値段でも売れたのか、次に出した「津軽人物グラフィティー」も5000円くらいで販売していた。ただこの本は売れいきは悪く、未だに完売していないので、せっかく1800円で仕入れても高くなることはなく、残念でした。

 先日、近くの古書店で笹森儀助の明治27年の「南島探験」を2000円で購入したが、沖縄の古書店では9万円、東京では13万円で販売している。これも全くマニアを対象とした価格であり、仕入れ値は数百円であると思うが、それに儲けを随分のせて販売している。よほど弘前の古書店の方がまっとうな商売をしている。最近では古書も一部のオタクを対象にしているのか、適正な価格というよりは、万が一売れたらという価格設定をつけることが多い。

 またこれも最近の話であるが、たまに買う「Discover Japan(2017.8 北欧はニッポンから学んでいた)を読んでいると、フィンランドのイラストレーターのマッティー・ピックヤムサの特集をしていた。カラフルで優しい絵に興味を引かれ、一体いくらくらいで売っているかとインターネット上で検索すると、神戸の雑貨屋で、絵本や雑誌で使った原画を販売していた。通常、原画といえども肉筆で、一点ものなのでかなり高い。ところがこの作家の原画が1万円前後で売っていた。早速、フィンランドのダイエット雑誌「KG」で使ったイラストが8000円で購入した。あまりの安さに最初はコピーかと思ったが、送られてきた現物を見ると完全な肉筆で、驚いた。おそらく作家はすでに雑誌社から謝礼をもらったので、懇意にしている日本の雑貨屋に非常に安い価格で譲ったのであろうし、それをお店ではあまり法外でない値付けをした結果、こうした値段になったのであろう。うちの母親の絵は、アマチュアの絵なので、気に入った人にはタダであげているが、銀座で個展を開いたときは、10万円以上の値をつけるように言われた。間に画商のような存在が入ると、作家の思惑とは全く関係なく、作品の値段が付くのであろう。

 値段がどうように付くのかは、オークションなどで見られるように、ほしい人が多ければ値段が上がる。例えば、以前安く購入した南雲忠一大将の書が、最近、ヤフーオークションに出され、114000円で落札されたが、これも法外な値段であり、意外に数は少ないとはいえ、他の日本海軍の将官の書でみると、せいぜい2、3万円くらいである。二人の競り合いで値段が上がったようだ。ロレックスの時計も気違いじみた値付けで、40年前のものでもコンデションがよければ2030万円前後で売買され、これは当時の購入価格をかなり上まわっている。オメガやセイコーの同時代のものが2 3万円で、これはまともな値付けで、ロレックスは異常である。

 地方に比べて東京のマンションの値段はもはや、同じく適正な価格とは言えない。土地価格は色々な評価法があるが、その部屋を賃貸で貸して、長くても20年以内の賃貸代で支払いを完了すべきであり、理想的には10年くらいがよい。人気のある東京目黒で見てみると60平米の賃貸で約25万円、年間で300万円、ずいぶん高い物件であるが、これでも20年で6000万円、この規模の新築マンションの相場が7000-8000万円なので、少なくとも25年近くかかる。本来なら家賃が上がるべきであるが、そうならないのは空き部屋になるからで、つまり投機的な価格が上乗せされている。

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